「技術スペシャリスト」のキャリアパス。その道は決して一本ではありません。ある者は深く、ある者は広く、またある者は鋭く、専門性を示す方法は様々です。
一つ目は、特定の技術領域を深く探求し続ける職人気質の「深耕型」です。データベースのパフォーマンスチューニングや、カーネルレベルの挙動解析など、その分野の「生き字引」として、組織の屋台骨を支え、難解な課題を解決する最後の砦となります。技術の根源を探求することに喜びを感じ、一つの道を極めることに誇りを持つタイプといえます。
次に、複数の技術を組み合わせ、ビジネスとシステムの最適なバランスを見極め、堅牢な設計図を描く「横断型」がいます。マイクロサービスアーキテクチャの設計や、クラウドネイティブなインフラ構築など、個々の技術より、関係性や構造を考えることにワクワクするタイプでしょう。システム全体の未来を描き、その礎を築きます。
三つ目は、予期せぬ障害や性能問題に直面した際、冷静な分析力で根本原因を突き止め、チームを救う「課題解決型」という道もあります。SRE(Site Reliability Engineer)のように、システムの信頼性向上に情熱を燃やし、「絶対に突き止めてやる」という闘志を持つタイプで、組織に絶大な信頼をもたらす守護神といえます。
最後に紹介するのは、LLMのような新技術にいち早く飛び込み、その可能性を探求し、組織に新たな道を切り拓く冒険家、「先駆者型」です。「面白そう」という好奇心でPoC(概念実証)を推進し、未来の事業の種を蒔き、誰も見たことのない景色を最初に目にします。
これらの道は、一つを選ぶだけでなく、キャリアに応じて姿を変えていくこともあります。大切なのは、自身の好奇心がどこへ向かうのかを見つめることです。